ケモノの従者と王子の花嫁
- あおい
- 「ちょっと飲みすぎたかも…」
日付は、もうとっくに変わってしまっている。
仕事上の付き合いとはいえ
かなりの量を飲まされた。
うぅ…、ふらふらする。
突然、ポケットに入れていた携帯が震えた。
- あおい
- 「…もしもし?」
- なつき
- 「もしもし?あおい?…あのさ 明日、合コンあるんだけど来ない?」
この声は私の数少ない友人の1人、なつき。
- あおい
- 「合コン…?やめとくよ~」
- なつき
- 「え!?どうしてよ~! また仕事なの!?」
なつきの大きな声が頭に響く。
- あおい
- 「明日は休みだけど まとめなきゃいけない記事があって…」
- なつき
- 「あんた、まだあの変な雑誌のライター やってるわけ?」
- あおい
- 「変って…」「オカルトが好きな人には人気なんだよ?」
- なつき
- 「もうそんなのやめて さっさと男でも作りなさいよ!」
- あおい
- 「はいはい。なつきは そればっかりなんだから」
- なつき
- 「女は賞味期限があるって いっつも言ってるでしょ~!」「あんたのこと心配してるのよ」
- あおい
- 「ん~、ありがと。 また連絡するね」
(電話を切る)
なつきからの電話を切り、私は酔いと眠気に襲われながら、ようやく家についた。
- あおい
- 「う~ん、鍵が入らない~…」
何度も鍵穴に通そうとするが酔っているせいか、まったく入らない。
- あおい
- 「ん?」
ようやく鍵は入ったものの
開ける手ごたえがない。
あれ…?
鍵を閉めないで出ちゃったかな?
- ???
- 「「「おかえりなさいませ、プリンセス」」」
扉を開けると、そこには人とは違う
なにかが3人並んでいた。
…やっぱり飲み過ぎだ。
職業柄、この街に宇宙人が現れたら~
とかよく考えるし…。
こういう“ありえないもの”が
見えるのも頷ける。
幻覚だよ幻覚。私、相当飲んじゃったもん…。
ピトッ
- アーレント
- 「あの…?」
あれ?触れる…?
幻覚のわりには妙にリアルな感触だ。
頭だけじゃなく、皮膚まで本物の生き物みたい。
きっと、現実と夢との境目が
分からなくなってるのね…。
もしかしたら、もう夢の中にいるのかもしれない。
ゴホンと咳払いが聞こえ
その人達?は身だしなみを整えた。
- マオ
- 「はじめまして、プリンセス」
- レザール
- 「貴方は花嫁候補に選ばれました」
- アーレント
- 「わが主の花嫁になってくださいませんか?」
不思議な3人組は
意味の分からないことを言っている。
- あおい
- 「それ、着ぐるみですか?」
- マオ
- 「着ぐるみって、なに?」
着ぐるみにしては
やけにリアルで怖いけど…。
実際に不思議な生き物に会うと
こんな感じなのかなあ。
…明日は良い記事が書けそう。
せっかくなので、この夢を楽しむことにする。
もしかしたら、新しいネタになるかもしれないし。