ケモノの従者と王子の花嫁
- レザール
- 「本当に、油断も隙もない」
- あおい
- 「え……え???」
状況が理解できない。
アーレントにキスされ
次はレザールに押し倒されている。
レザールが何故不機嫌なのか
私には分からない。
- レザール
- 「目を離すとすぐこれだ… 貴方には危機感というものがないんですか?」
- あおい
- 「今、感じてる…」
- レザール
- 「…」
- あおい
- 「なんでもない」
“口答えするな”と目が言っている。
- レザール
- 「あの男は貴方に気があるんですよ。 もっと気を付けてください」
“あの男”とはアーレントのことだろう。
何故、こんな形で忠告されているんだろう。
- あおい
- 「でも、レザールには関係ないでしょう」
そう言うと、レザールは
何故か驚いたように目を見開いた。
まるで、何故自分がこうしているのか
分かっていないような反応だ。
しかし、そんな態度はつかの間。
レザールは私の顎を掴んだ。
- レザール
- 「なら…」
再び低くなったレザールの声に
私は黙って顔を見つめた。
- レザール
- 「なら、私だっていいでしょう」
そう言われると、唇に温かいものが触れた。
今度は正真正銘、唇に。